「第5連隊、敵軍を掃討して帰還

「第5連隊、敵軍を掃討して帰還。開門っ」門の前に立つと、ハンベエは割れんばかりの大声で怒鳴った。しばらく待ったが、城門は開かない。この腰抜けどもがっ、味方に門を開かないとはどういう了見だあっ、開門しなければ、ぶち破るぞ。」ハンベエは凄まじい声で怒鳴って、城門を蹴った。厚手の城門の扉が震えた。いつの間にか、ドルバスが丸太を持って来ていた。Yaz避孕藥 評論スはハンベエを退かせて、丸太を叩きつけた。ドーンという音がして、門扉が揺れた。「待て、今開けるから、待て。」やっと、門の内側から声がして、ぎいぃっという音とともに城門が開かれた。門の内側では、何十人もの兵士達が、手槍を構えて、陣取っていた。「そこで、止まれ。」その兵士達の長らしき人物が言った。「何が止まれだ。俺達第5連隊の凱旋帰還にケチをつける気か?」ハンベエが憎々しげに怒鳴った。「上の方から、ここで留めるよう指示が出ている。」「指示だと、その上ってのは誰だ。将軍のバンケルクか?事と次第によっちゃあ、ぶった斬ってやるから、連れて来い。」「まあ、落ち着いて来れ。」その男は取り成すように言った。元々、同じ守備軍の兵士同志であり、今回の守備軍本部の第5連隊の仕打ちに、他の連隊の兵士達全部が納得しているわけではない。むしろ、本部のやり方に怒りを覚え、第5連隊に同情を寄せている兵士の方が多かったのだ。今、ハンベエ達を止めている兵士達も上からの指示で仕方なくハンベエを遮っていると風情がありありと見えた。その時である。ハンベエの後ろから、すーっという感じで、パーレルが前に進み出た。突然、パーレルは歌いだした。第5連隊、クズ連隊。いきなり、自分達をクズ連隊と歌いだしたパーレルに、第5連隊の兵士達は、何を言いやがるという顔で、パーレルの方を見た。だが、パーレルの怒りと悲しみに満ち満ちて、涙まで流している顔を見ると、押し黙った。 第5連隊、クズ連隊。集う俺らは、クズのクズ。兵士の命は土くれか、還らぬ友に何かせん。ハンベエは、パーレルの肩に手をやり、黙って見つめた。そうして、優しげな手付きで、後ろに下がらせた。「第5連隊クズ連隊。」後ろの第5連隊の兵士の一人が、パーレルを真似て、歌い出した。さざ波のように、その歌は第5連隊兵士達の兵士達に拡がり、いつの間にか、第5連隊兵士全員が歌っていた。「今回の戦争の最大の功労者、第5連隊の勇士の凱旋だっ、遮る奴はぶった斬るぞ。詰まらぬところで、命を落としたくない奴は道を開けろっ」ハンベエは腰の刀に手をかけて怒鳴った。本当に刀を抜きかねない勢いであった。諦めたように城内の兵士達は道を開けた。ハンベエは大股に歩みを進めた。第5連隊兵士達は、『第5連隊クズ連隊』と口々に歌い、足を踏みならしながら押し通って行った。いつの間にか2番が出来ていた。第5連隊、クズ連隊。それでも死ぬ時ゃ立派に死んだ逝った仲間に思いをすれば、明日の命もいりゃしねえ。当たるべからざる気炎であった。